仕事が済んでいつもの地下鉄に乗っていると、今日は祝日だったので空いた席に座れたのですが、僕の向かいの席にとても印象的な三人の女の子がいました。 20歳くらいの、目の細い女の子。(金髪ショート)と、20歳くらいの目の細い女の子。(黒髪ロング)と、…

初トンボ

子供のころ、竹トンボは凶器だった。あの羽の部分が、どうしてもカミソリを連想させて、ぐるっと勢いよく回転させて飛ばすと、自分にその刃先が刺さりそうな気がしていたから。しかも、それで本当に自分が死ぬイメージを想像してた。 まるで大根でも切るみた…

山苺

ヤマイチゴ。 ヘビイチゴ。じゃありません。 盆地の『へり』にあたる小高い山の斜面があって、草を分け分けそこをだらだらと歩いていたら、イチゴ、がありました。 いや、ほんとは傘です。イチゴ、のような傘。 赤くて、粒々があって。 甘い匂いはしなかった…

球粒

すぱん! と、ボールをキャッチする音が、空気の粒粒に混じって、山の隅々まで響きそうです。少年が投げる向こう側は結構遠くて、一振り一振りに合間があって、そのリズムが気持ちいです。彼の投球の小気味いい律儀な所作が、山の中の運動場に透明な残像を残…

日々は静かに発酵し。

秋雨のような呼吸が、静かに聴こえてきそうな写真。 少女は声を出さずに、誰にも気付かれないように、ひっそり泣いているのでしょうか? 季節の移り目に、人の心の繊細な部分をよく街で見かけるようになります。 寒さの厳しい冬を迎える前の、微かな不安と強…

水と花

水が、うっすら緑色なのがいい。 樹々があるところの空は、うっすら緑色に見える。 そういうところの空の色が好きです。 この写真を撮ったところは、山の中の小さな茶屋でした。 茶屋のおばさんが笑うと、ごく微かに緑色の呼吸が見えるようで、ああ、この土…

実は

この子です。邪気の正体は、この子です。 ほんと子どもってずるいなぁ。 彼らが素に戻ると、もうこっちはシャッターを押すだけの存在になってしまう。 「子どもを撮る」って行為に、僕の意思が入る余地がなくなり、ただ、シャッターを切るだけになってしまう。…

邪気にさらわれて

邪気をコントロールできていない状態が、無邪気。と考えます。 もしくは、邪気が常識の範疇を超えた部分のことを、無邪気。と括ってみます。 実際、子どもは邪気の塊だと思います。悪戯を考えるエネルギーが大人より原始的でありながら、しかしそれは熱い創…

記憶

車窓から一旦眼に入ってきた風景が、心の底に少しづつ降り積もっていく。恋をし、挫折をし、徐々に変化していく。 それが記憶。 少年が、いずれ老いて、死ぬ間際に見る記憶は選択できない。 けど、それを豊かにすることは出来る。 方法は誰も知らない。自分…

白太刀の剣士

久々に、凛々しい顔を見ました。 白い太刀筋が残りそうな、そんな一刀をこれから見せてくれるんでしょう。 僕は小学校の頃剣道をしていて、いざ死合(試合)のとき、一度だけ物凄く強い剣士がそういう白太刀を振るっているのを、見たような記憶があります。感…

Booker Littleのいる焼き鳥バー。

僕の大好きなトランペット奏者。もう50年も前、突然亡くなった素晴らしいJAZZMANで、彼の紡ぐ優しいけど寂しい音が本当に好きなんです。 こないだ何気なく入った焼き鳥バー。料理人のオーナーは手が空くとトランペットを吹いてくれる。その時はお客さんの…

海から来た先生

高校生のころ、僕はよく亀の死体を授業中にイメージしていました。 教卓の上に、大きな親アカウミガメの腐った屍骸。 実は、それは僕が実際に目にした光景です。 小学生の頃、ボランティアの一環ででアカウミガメの保護活動をしていて、朝五時くらいに海岸沿…

眼の力

僕は眼の力を信じる。この子は、僕が泊まった宿の息子さん。 まっすぐに、カメラを見てくれた。 もちろん、幾分かの緊張や戸惑いもあったと思う。 でも、それだけがこの眼の力の原因じゃない、と思う。 岡山の高梁。 街全体が一つの家のようであり、非常に親…

ヴィム・ヴェンダースは映画を撮るとき、絶対25㎜のレンズを使う。それが、彼のロード・ムーヴィーの約束。 小津 安二郎は映画を撮るとき、絶対50㎜のレンズを使う。それが、OZU映画の約束。 映画を撮る人、写真を撮る人にとっては、自分の㎜に出会う…

飛ぶ。

女の子が竹とんぼをしている場面に遭遇。お兄ちゃんやお母さんと一緒に、とんぼが飛ぶように練習するけど、なかなか飛ばず。 それでも彼女は、ちっとも悲しそうな表情をしない。 また、ひたむきに竹の芯をくるくるさせる。 女の子は、飛ぶ。って言葉を知らな…

一人旅写真 6

右側の子が、左側の子にちょっと気を遣っている感じがいいと思います。割と好きな1ショットです。 うっかりすると見過ごしそうなところに、人の機微ってありますよね。写真で見ると、右側の男の子の頭が、ほんの少し左側に傾いているだけなんですけど・・・…

一人旅写真 5

悔しいくらい、いい顔をしてる犬。の置物。 いい顔。というのは、置物なのに妙に人くさい表情をしているからです。その犬の置物が作られて10年以上たっているとしたら、その月日の流れた分だけ、きちんと喜びと悲しみを抱えているような顔をしているんです…

忘れたくないもの。

風景は、繋がっている。 Kieth Jarrettのことを考えます。Kieth Jarrettは白人のJazz Pianistです。 白人の彼が頭角を現したのが60年代末、Jazzが黒人のイディオムに囲まれた、ある厳しい緊張の真っ只中。 彼はJazzを理解したくてアフリカ人のように髪を豊か…

一人旅写真 3

何のボールかビーチボールほどで透明な、とにかくその少年はボールを追いかけるのに夢中でした。 たまたま盆祭りの最中で、ものすごい人でした。 その渦中にいた少年です。 祭りに集まる人々は、それぞれに寄りたい出店があって、話したい人がいて、見たい提…

一人旅写真 2

青が、とてもきれいだと思ったんです。 その絵は誰からも見向きされなかったのか、それで自分も駄作だとあきらめて家の裏に打ち捨てたのか。 キャンバスに描かれた頼りない月が、街灯の足下の虫の死骸のように、放置され、朽ちるのを待つだけように映ります。…

一人旅写真 1

先週短いながら、久々に一人旅をしてきてまいりました。 なかなか日記を更新できないので、旅で撮った写真を少しづつアップしていこうと思います。 文の方も随時更新していきますが、忙しい間は写真を出していくことにします。

鬼と鬼見る女の子

バスッ、ボスッ、、、、ド、ゴ、ズドッ。 真夏のジム。 道路沿いに建てられたそのジムは、ガラス一枚隔てて、筋骨逞しい若い格闘家たちの荒々しい稽古の空気を歩行者に伝えます。その空気を吸うと分けもなく緊張してしまって、体中の関節が硬くなったような…

陰あるチャーハン

慣れない街でふと電車を降りて、あてもなく歩いていると、住宅街の一角にひっそりした中華屋がありました。 僕はお腹が空き始めていたので、その店に入ることにしました。 お腹が空いたのもそうだけど、その店が街全体が作る陰の中に馴染むように、自分の店…

空から分けていただく。

電車に乗って、空。 電車に乗って、車窓から何の気なしに空を見たりすると、「今まさに僕が電車に乗って走っているこの街と、空とを分ける境界線って、一体何だろう?」と考えてしまいます。ぼんやり。 単に視覚的なことだけでそれを区分するなら・・・ ■ビル…

あしあと

通りを歩く人たちは、気付いていないようです。 雨が降った後のコンクリの道路を歩いた跡には、微かに自分の足の形が留まっていること。そういう足跡には、一瞬その人の過去の記憶だとか、これからの時間が映っているようです。 歩く度にそれを目の当たりに…

おでこを洗う

喫茶店でアイスコーヒーを頼む機会が増えてき増した。 そういう季節です。 ブレンドよりアメリカン、ホットよりアイス。 さっぱりの、加減が繊細になる季節。 本を読みながら、ふとアイスコーヒーのグラスに眼をやると、表面に粒粒の水滴が垂れはじめていま…

悪魔の血

お好み焼きやさんで夕食をとったのですが、店長の奥さんの趣味で色んな辛味やスパイスが取り揃えられていたんです。 ◇黄金の一味、◇DEATH SPICE、とかどれも大抵物々しい名前で、見てるだけで、何だかドキドキしてしまいます。マッドサイエンティストの実験室というか…

うたが聞く。

「電信柱の影は、ほんものより長いんだよ」 そういう歌を、聴きました。 というか、歌が→僕に。聞いてきた感触がしたんです。 影が、ほんものより長い。というのは一体どういうことか? 影は、本体より、存在価値が上なのだろうか?そういう場合も、多分ありま…

無意識過剰 〜もぐら花火を経験したとして〜

自意識ではなくて。 例えば、「もぐら花火」のことを唐突に考えてしまいます。 「もぐら花火」は何かというと、これは日本がまだ本当の意味で平和だったころ、子供たちの間で流行っていた遊びの一つです。① 夕暮れが終わるころ、子供たちはまず市販の打ち上げ花…

おこないの素材 を映像に展開してみる。

二日連続で同じネタです。ごめんなさい。今日はですね、昨日日記で書いた“おこないの素材”を、何らかの方法で連続して映像で提示していくことで、動画表現できないかと。いうことを考えたわけです。 僕は、人が“おこない"をしてしまう原理のことについて考え…