kaelshojo2006-11-04


仕事が済んでいつもの地下鉄に乗っていると、今日は祝日だったので空いた席に座れたのですが、僕の向かいの席にとても印象的な三人の女の子がいました。



20歳くらいの、目の細い女の子。(金髪ショート)

と、20歳くらいの目の細い女の子。(黒髪ロング)

と、70歳くらいの目の細い女の子。(白髪ショート)



ん?70歳の女の子?
実際はお婆ちゃんなのですが、三人の印象が殆ど同じだったので、僕は心の中でそのお婆ちゃんを「女の子」とカウントしてしまいました。

彼女たちは家族、というより姉妹、という雰囲気があります。



冒頭でとても印象的。と書いたのは単に三人が似ているから、という以外に、真ん中の黒髪ロングの女の子が手にしたi-podから伸びたヘッドフォンを、仲良く三人が交互に渡し合っていたからです。

何かお気に入りの曲があったのでしょうか、ヘッドフォンを耳に入れ替えては、それを三人で楽しそうに聴きまわしています。
 

そこには姉妹よりも濃密な、言葉でも写真でも形容しがたい関係が見えるような気がします。



ただ、若い女の子同士でヘッドフォンを一個づつシェアしている時、70歳の女の子は耳が空いてしまうので手持ち無沙汰になり、その瞬間だけは、彼女は自然と「老い」を垣間見せます。


あたしには、あんた達の年頃の歌は分からないのよ、という風に。


その時彼女は、二人の女の子から離脱して、普通のお婆ちゃんになります。
そしてヘッドフォンがまた回ってくれば、彼女は姉妹になり、女の子になります。




その何ともいえない不思議な循環が目の前で繰り返されていく内に、僕のほうも何だか現実感がなくなってきて、いつも降りる駅のことを忘れてしまっていました。


一駅乗り過ごして、それが終電だったので、僕は彼女達が聴いていた曲は何だったのか割と真剣に考えながら、ゆっくり家まで歩いて帰りました。