2007-01-01から1年間の記事一覧

消しゴムとエンピツの行く先

消しゴムとエンピツは、刻々と変化するお守りだと思う。毎日毎日使うから、一日として同じ形を留めていることはない。 使う者の意思に削られるように、消しゴムもエンピツもすこしづつ消耗していく。 消耗していく。というよりは、白いゴムと黒炭が「書きた…

やさしき自販機

僕の家の近くには環七という大きな環状の道路が走っている。道路沿いには、何百メートルかおきに自販機が置かれていて、夜になるとこっそり世界の裏側を照らすように、ささやかな明かりを灯す。 いつからか飲み物を必ずコンビニで買うようになってしまってか…

おいなりさん

深海から拾ってきたようなしっとりした油揚げに、ひっそり身を隠しているおいなりさんが好きです。 コンビニの片隅でひっそりと佇むさまが何ともいえない切なさを誘って、へたっとガラス棚に寝そべっている彼らを見ると、まるで不幸の快楽を味わうような危う…

猫又

家の近くには猫がいっぱいいます。あらゆる隙間に猫がいます。 そして、すごく足が速い。あ。と思った瞬間には、ワープしたようにパッと移動していたりします。ワープしても、こちらに警戒しているときは常に同じ目線を投げかけてくるので、例え一匹の猫だと…

花粉と風化の粒々の中で

花粉対策で、スキンヘッドにしました。これなら髪の毛に花粉の粉粒がくっ付いて、くしゃみ鼻水に悩まされることはありません。 髪を剃ることは世俗から離れる験(しるし)だと聞きましたが、お地蔵さんの世界では、ちょっと違うようです。放置され、風化によっ…

SF Jazz Collectiveは女性の隣にある。

久しぶりにBLUE NOTE TOKYOに足を運んだのは、JOSHUA REDMAN(TENOR SAX)の主催するSF Jazz CollectiveがLIVEに来ていたからです。SF Jazz Collectiveは、サンフランシスコの全米最強ジャズ・オーガニゼーション。ベテランから若手まで、優れた才能を持ったプ…

死の叙景

朝、起きて窓を開けると、必ず向かいの家のお婆さんが洗濯物を干している。 目は合ったことがあるけど、まだ挨拶は交わしていない。 老人独特の防壁というか、中々心を開かない硬い土のような雰囲気が、僕らを目礼だけに留まらせている。それ以上彼女を掘り…

ジャムパンの行方

そう云えば、大人になってジャムパンを食べなくなったと思った。 今パン屋さんで物色して、ショコラデニッシュとかパンプキンタルトとか宇治金時ロールなんて洒落たパンは買っても、純粋にジャムだけがパンの真ん中にどーんと入った、いなたいパンは視界に入…

下手こそ

何か習い事を始めるとき、最初は何でも下手なもの。泳ぎ方を知らない子が、初めてプールに入ったとき、その泳ぎ方はきっと下手だ。 ピアノを知らない人が、始めて鍵盤を叩くとき、きっとメロディは崩壊し、下手な音楽になってしまう。下手、というのは文字通…

云わザル。

本来自分で口を閉じるサルのことを言うけど、このサルは苔に口を封じられています。 このサルは何か云いたいことがあったのか、或いは絶対喋ってはいけない禁断の言霊をいまだに体内に封じているのか・・・。 地蔵にはもともと人の想いを封じ込める役割があ…

地蔵様 ②

しっかり根を張った顔中の苔が、この地蔵様の生きてきた時間を証明します。 人々に忘れられ、殆ど手入れのされていないこの顔は、しかし毎日ピカピカに清掃される都市の共同墓地より、ずっと美しく堂々とした気概を感じさせます。 この顔と向き合っていると…

地蔵様のかお

今、地蔵様を撮りためています。 ふとした瞬間に、まるで生きているかのような気配を醸すから不思議です。地蔵様にレンズを向けるとき、僕はなるべく人と対話しているような気持ちで 接するように努めています。 地蔵様を通して、人の顔を撮りたい。同時に人…

瞑る人

瞑る、はつむる。と呼ぶ。街で、たまにそういう人を見かけると、不思議と静かな気持ちになる。

形見

置き去りにされたモノが、それを持っていた人の記憶から忘れ去られた瞬間、それがあった『場所』の形見になる。 人に見放され、場所に魅入られて、モノは初めて侘び寂びを帯びるような気がします。流転する時間の中で、永遠を手に入れるのでしょうか。 形見…

葉っぱ

落ちて、綺麗になる。たまに、とてもいい形をする。

アウシュビッツで会う友人

藤井郷子さんのLIVEに行ってきました。 藤井郷子さんは、今世界的に活躍されているFree Jazzのピアニストで、特にヨーロッパ圏のJAZZシーンに 与えている影響が大きいと聞きます。(実際、ライブ会場には外国のプレーヤーらしき人が何人かいました。) 1stセ…

ざぶとん

座るために進化した道具。進化はやさしさに裏打ちされるものだと、思います。

ななめ

ななめに見える。写真の不思議な発見をしました。 この写真の主役は真ん中の樹で、この樹を傾けて撮ったら、 風景全体が傾斜しているように写りました。 一枚の写真を見るとき、その写真の情報によって、見る人の目線は ある程度誘導されているものだと思い…

イノシシタイガー年

今年はイノシシ年ですが、ここは敢えてタイガーで祝います。 写真の彼は明らかに偽タイガーですが、学生のころの僕の心のヒーローであったことは間違いありません。 偽タイガーは僕と同輩の油絵描きさんで、学生プロレスのタイガーマスクだった人です。 「偽」…