ななめ

kaelshojo2007-01-09


ななめに見える。

写真の不思議な発見をしました。
この写真の主役は真ん中の樹で、この樹を傾けて撮ったら、
風景全体が傾斜しているように写りました。


一枚の写真を見るとき、その写真の情報によって、見る人の目線は
ある程度誘導されているものだと思います。
例えば、家族写真だったら、まず当然家族に注視します。
一番最初に、家族が座っている椅子は見ませんよね。


何気ない街角の風景でも、その人の持つ記憶や視点の“くせ”によって、
極めて独特な、写真の上を泳ぐ視線の舵取りがされます。
電信柱を見る人もいれば、ビルの輪郭をなぞる人も、空の青に見とれる人もいます。
この「舵取りの個性」は色々研究してみたいものですけどね。

例えば、A君という少年に、A君の家族写真を加工したもの(お父さんやお母さんの
顔を他の家族の顔や、A君の好きなTVヒーローの顔に挿げ替える)を何十枚も見せたら、
A君の視線や記憶の形成にどういう影響が出るのだろうか・・・などなど。



ともあれ、この写真は「ななめに見えた」ことが肝要なのだ、と感じました。
樹は僕の個人的な記憶と関係あるからかも知れませんが、“樹”の存在は色んな人に
とって普遍的な存在ですもんね。

写真の中の“樹”の情報を、うまく操作することが出来たら、かなり面白いことが出来るかも
しれません。色んな人の視線の共通点みたいなものも探れるかも。

“樹”以外に、空の青、海の青、両親の肌の色、赤ちゃんの肌の色・・・無数の普遍的な
オブジェクトが、色とりどりにありそうです。
出来ればそういう写真のなかの普遍を、思うようにデザインしてみたいものですね。
そうすれば、何てことない写真が、ななめに見えたり、真っ青に見えたりして、実に楽しそうです。