ヤマイチゴ。
ヘビイチゴ。じゃありません。
盆地の『へり』にあたる小高い山の斜面があって、草を分け分けそこをだらだらと歩いていたら、イチゴ、がありました。
いや、ほんとは傘です。イチゴ、のような傘。
赤くて、粒々があって。
甘い匂いはしなかったけど、これを使っていた人の名残がまだ残っている感じがしました。
それは確かに女の人のもので、このイチゴ傘を使っていた女の人の気持ちは甘いものだったに違いない、とか妄想しながら汗を拭きました。
山の斜面に咲き開く、一つの古びたイチゴを見ると、僕はどうしても甘い記憶を思い出してしまうのでした。
だらしないなぁ。