贅沢

kaelshojo2006-11-25


ある宿に泊まったとき。


障子に朝日が射して、そこで見た風景に、確かに美意識を感じたんです。
日本が昔から、少しづつ積み重ねてきた意識のことです。


真っ白い和紙の空間は、光と共に遊ぶものだということを、僕はいつの間にか知っていました。
そこに落ちる葉っぱの陰が、モノの重みを気付かせてくれることも、僕は以前から知っていたように思います。



夢に思いを走らせ、同時に現実に生きることを意識させる。
それはどこか人の儚いサガを教えてくれるし、儚い人の連鎖が、確かに僕や僕の父(母)、そしてこれから僕の息子(娘)に無限に繋がれていくことも教えてくれます。


僕は、障子に色んな感慨を馳せながら、その一部をカメラで切りとることに、ものすごい「贅沢」を覚えたのです。


日本の風や水や土が、日本人に与えてきたもの。
それを彼らが生きるために懸命に汲み取って、生きる知恵に昇華してきた、美しい真心。


神話を、ぼくは更に細かく、レンズで切り取りました。贅沢に。





障子が囁くこの一連の美意識は、日本人の財産だし、僕は大切にしていきたいです。

ただ、財産は有限である、ということを忘れないように。