ボーイ オン ザ ボール

打ち合わせに行く途中、公園で少年二人が野球ボールの投げ合いっこをしていました。


ただ、それがちょっと普通じゃなくて。


普通じゃないのは、片方の少年が少年らしくない気の遣い方をしていたからで、まるで盲目の人にボールを確実にキャッチさせるように、実にやわらかくボールを投げます。



ふうわり。


ぱす。



キャッチ。的確。
しかし受け取める少年は盲目ではなく、健全な少年です。
その少年が唯一奇妙だったのが、両足の下にそれぞれサッカーボールを挟んで立っている、という点です。

不安定。サッカーボールが、少年の足場を保証しません。
投げられた野球ボールをキャッチするのも、ゆらゆら揺られてとても困難なようです。



何かの訓練かな?と、思いました。

少年たちに笑みはなく、ただ黙黙と不安定なキャッチボールを積み重ねていきます。時に少年二人の、触感のない透明な時間が横に横に伸びていきます。


とても静かな、そう、音のない光景でした。
胸を、ゆっくり打たれました。



そういう種類のボールは、僕はキャッチできやしないもの!