ブラックのおとなり

僕が誰かと住んでいて、その誰かはよく珈琲を飲んでいます。煙草は飲みません。


珈琲は必ずブラックです。甘いのは、その誰かの好きとするところではなく、珈琲に関してはブラック。を守っています。守り通しています。


ブラック。


そういえば、その誰かはよくロック・ステディ。を聴きます。レゲエの以前の、ほんの一瞬だけ輝いたジャマイカ産の音楽で、世界中のありとあらゆる音楽の中でも、特に愛に溢れています。キラキラした、甘いラブ・ソングが、本当に純粋です。


黒人の音楽は、ブラック・ミュージック。そして、隣りにブラックの珈琲。混じり気のない、ブラック。


音楽はメロウでとっても甘いのに、珈琲は一向に甘くなりません。ブラックにしたがるから。その誰かが。


ここに一つのパラドクスがおきて、一瞬砂糖を入れていない珈琲が、甘くなります。


正しくブラック、の力で。


バック・ミュージックは、もちろん、Jachie Mittoo!で。



☆キラ。キラ、キラ☆



僕が寝ている間に、その誰かが珈琲を一杯飲み終えていて。冷たくなった珈琲カップには、底から1cmくらいの珈琲。じゃなくて、カフェ・オレが残っている!


そうしたかったんでしょう。隣人の変化というものはたいそうささやかで、ブラックがたまにブラウンに替わったりします。


僕が眠っている合間に、ブラックは消えてしまったんです。


そういう種類の変化は、人を傷付けることだってあるんです。深く。



☆日々は静かに発酵し☆(笑・ロシアに某監督に対する敬意ですよ、これは!)



カフェ・オレ的哀しみに自分勝手に浸っていると、ラジオから新種の肉食獣を発見したニュースが流れてきました。
その肉食獣はネコのような風貌をしており、尻尾が異様に長い。と端的に説明されて、僕はその肉食獣が誰かを食べ尽くしているところを想像します。でもその誰かをうまく想像できなくて、結局新種の肉食獣が誰かを食べる、という一連の物語は永遠に完結しません。だから僕は仕方なく、肉食獣に食べられる役を僕にして、とりあえず殺されることにします。


ブラック。


ラブ・ソング。


まず、長い尻尾で首を絞められて。


くすくす。


甘いのは、お好き?




深呼吸。




もう一度、深呼吸。





イメージを取り直してみます。デザインが必要。物語には特に。


そうそう。
そういえば、その誰か。は確実に黒人の設定で、今日はJachie Mittooでした。


ただ、それだけの話。


黒人が僕の家で、歌を歌ってくれるのが、夢です。




☆メリー・クリスマス☆