お墓で特攻(ブッコミ)応援団

機材を運んでいる時、墓地を横切って、眼に入ったのは、墓のど真ん中に




ズン。




と置いてある、バイク。ただそこに置いてあるだけなのに、見る度に“ズン”という音がします。そんな存在感が、そのバイクにはありました。


バイクは明らかに改造してあって、「特攻」的な妖気がボディ全体にコーティングしてあります。



要はですね、墓に族の単車が、ズン。



何だか奇妙な組み合わせなのに、僕の眼にはとても相性の良い組み合わせに映りました。


とても、美しかったのです。





ふと。

映像が思い浮かびました。サイレントの映像です↓





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真昼。
冬の真昼で、日差しは強烈なのに、空気はピンと冷んやりしています。


郊外の墓地。その墓地全体にに絡むように、様々色とりどりの単車が墓石に立て掛けられています。ただ、フィルムの色自体はかなり浅いので、印象としては淡い感じです。


で、墓地の中心にはリーゼントの特攻服隊員がきっちり10人、二列になって整列しています。
彼等は応援団でもあり、大変美しい演舞を披露します。


口を裂けそうなほど大きく広げ、こめかみの静脈を立て、応援歌を歌う際のヴィブラートで喉仏が小刻みに震えています。



ただし、この映像は「サイレント」



暴走族の全身が、墓石の下の仏様に向かって念仏を祈るために、怯えています。



声を荒げて。そして、無音で。




そうそう。
特攻服の胸ポケットには、赤い蝶々の形をした折り紙が掛けてあります。


そうそう。
リーゼントの先には、赤いリボンが、キュートに結んであります。




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だからさ、こういうイメージがどうしたわけでも世界を変えるわけでもないけどないけど、何だか、僕が生きる力の全てなんです。