青ねぎのハード☆ロック

CDを「とりあえず」22枚売ることにしました。「とりあえず」というのは、えー、たいそう未練がましく殆ど聴かないのに、何故か売りたくないCDが山ほど残っているからです。

最初は”よーし、こいつぁ売るぞんブルゾン!!“と意気込んでいたものが、そのCDを手にすると、買った当時の記憶が触覚的に蘇って、ああ、それ何か手触り忘れたくないのですよ、なんて。


売らない動機だなんて些細なことです。


例えば、SpookyToothという、60年代末にほんの一瞬だけ活躍したハード・ロックのバンドのCDが残りまして。これを買ったのは、確か大学一年のときです。



その時、



僕は、ラーメンを食べました。お昼に。青ねぎがとても多かったのを、ぼんやり覚えています。



で?と、聞かれると困るのですが、ぼくがSpookyToothを売ってしまったら、ラーメンが、青ねぎが確実に僕の記憶の連鎖から消えてしまうでしょう。ほぼ、完璧に。


僕が映像を作っているからでしょうか、そういう忘却の現象が、自分に許せない感じがして、そんな大げさなもんでもないけど、やっぱり、ラーメンには、青ねぎには、さらには「青」のヴィジョンは失いたくない感じがします。

SpookyToothは、根拠はないけど、ぼくにとっては、「青」の音楽なわけです。下らない理由でも、音と色がリンクする瞬間っていうのは、それは創造の聖域であり、すぐ見失うその領域を、注意深く観察しておかねばなりません。その注意がフィルムに焼き付けば、それは立派な映画になるでしょうね。や、ほんとに。(蛇足ですけど、SpookyToothは非常に先進的なバンドで、なんと現代音楽の巨匠/オリヴィエ・メシアンと共作でアルバムを出してます。これ、ほんと素晴らしいですよ。あまりの濃さに、へたなサイケデリック・バンドのバッド・トリップなんて、軽くふっとんでしまいます、マヂで。)





そういや今日は四人でスタジオ入りました。たのしかったー。まだ耳鳴りしてます。さっき耳鳴りしたまま、中原俊監督(12人の優しい日本人、とか、櫻の園、の監督!)の「コンセント」を見てました。

どサイケ(笑)。市川実和子が主人公なのに、全ーーーーーったく今風な感じがしない(笑笑)。すげえ。流石。流石です、巨匠。



自分のコンセント抜くのは、きっもち、いいだろう、なあ〜。はい、僕さぁ、僕のコンセント抜いてよ。