雨が目にしみる。アーバン・ブッシュマン。都会で暮らす、ブッシュ・マン。黒人。アメリカン・アフリカン。孤独になるしかなくて、帰れない大地を目指しながら、雨を食う。全身真っ黒で、雨に濡れてもっと黒くなる、ブッシュ・マン。雨が骨を冷やして、それから火がつくのが、ブッシュ・マンの孤独と、誇りです。日本人には、とても真似できません。

最近ほんとうにArt Ensemble Of Chicagoが好きでよく聞いてます。フリージャズの重鎮で、はっきりいって万人に向ける音楽でもないんですが、それでも、いいもんは、いいです。

原始的なパーカッション・アンサンブルの中に、悲鳴だか産声だか泣き声だかわけの分からない意味不明の雄叫びが飛び交い、そのあまりの馬鹿馬鹿しさに、僕は泣いてしまいそうになります。彼等は至って真剣にふざけているし、孤独が道化た分だけ際立って聞こえます。奇跡になんじゃないかな。彼等の馬鹿さは知的で、抗鬱的で、都会的で、悲観的で、凛とした潔さがあります。ふざけて美しいのは、僕の知る限りでは他に聴き当たりがありません。

傘忘れて、ずぶ濡れ。本当に寒くて、骨が折れそうです。今ガンガンに爆音で、Art Ensemble Of Chicagoをかけています。雨に濡れて体はすごい冷えてるけど、僕はもうちょっとこのまま、ブッシュ・マンな孤独を味わいます。風邪ひいても、いいや。