80年

kaelshojo2006-11-09


物心着いたときから、お土産屋のお会計の席に座っている、というお婆さん。


齢90とか。


同じ座布団に、お婆さんは毎日、80年もの間腰掛けて、それで手に入れた幸せがあるといいます。


変化の目まぐるしい東京で幸せを掴めない人もいれば、こうして同じ場所に留まり、ささやかな人生をいつくしむ人もいます。


お婆さんと、お婆さんを支え続けて80年という時の染み込んだ座布団に、僕は心から敬意を払うのです。


水木しげるもよく云ってるけど、物を100年使えば、それは「妖怪」になる、って。
妖怪の本質は、人にあることを思い知らされました。

同時に妖怪の存在が、人は人を超えるような想像を持てない、という事実も示唆しています。
人が人を超える想像をする時は、それはとても危険な瞬間です。
もしそういう妖怪が現れたときは、人間の終わりを意味するのでしょうか。




僕は、愛すべき妖怪たちが出てくるような、そんな作品を残してみたいです。

この僕のチャレンジは、このお婆さんの表情と、極めて密接なんですね。